第2回 カウンセリングとは

 カウンセリングとは、物理的・化学的手段によらずにカウンセラーとの対話を通じて、心理的問題を解決・改善をもたらすものです。対象とする問題は、精神疾患から対人関係の葛藤、人生を歩む上での課題から家庭や職場でのなじめなさ、などさまざまです。
 実際のカウンセリング場面では、あなた(クライエント)とわたしたち(カウンセラー)が対話する中で、あなたが問題に対する新たな洞察を得ることや、物事に対する考え方や感じ方が変化していくことを私たちは援助しています。つまり、一時的に遭遇する大きな困難を克服して、あなたなりに最高に機能できる特徴をフルに生かして、あなたの人生を歩んでいけるように精一杯支援させていただくということです。ですから、あなたの自主性を尊重し、こちらから何らかの強い指示や強制を行うわけではありません。ただし、わたしたちは臨床心理学、カウンセリング心理学、精神分析学などの知識と技能を用いてあなたの状態を把握し、適切な理解と対応を心掛けています。そのために、日々のカウンセリング場面での対話はもちろん、当相談室では種々の心理検査を重視しています。あなたの症状や問題に合わせて複数の心理検査を用意しております。
 ときどき、「カウンセリングというのは、話を聞くだけですか?」と尋ねられることがあります。ともすると「話を聞くだけ」という言葉から受け身で責任のない対応という印象を受けます。しかし、わたしたちにとっての「話を聞く」ことは積極的に「身を入れて聴く」ことです。あなたの可能性を引き出すために知識を蓄え、工夫をしているわけです。
 日常生活で私たちは思いやりや善意はあっても、お互いの話を聞いているようで聴いていません。自分の話が傾聴され自分が肯定され、共感されることは、得難い経験ではないでしょうか。当たり前のことですが、人が変化し成長するのは人との関わりによってのみ可能です。わたしたちはその関わり方のプロだと思っていただきたいと思います。(2011/10/24)

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